ゲーテと音楽

2016年4月1日(金)~ 6月30日(木)、8月28日(日)~ 12月10日(土)

 ゲ―テの言葉の出典の問い合わせがよくあります。音楽関係で多いのは、「建築は凍れる音楽だ」です。『箴言と省察』を見ると、ゲーテは、「ある気高い哲学者が、建築作品 (Baukunst)を凍れる(erstarrten)音楽と名づけたが」と書いており、結論的には、あえてそう言うのなら、「建築(Architektur)を無言のサウンドアート(Tonkunst)と呼んだらいい」と、含みのある言い方をしており、ずばり「建築は凍れる音楽だ」とは言っていません。ちなみに、この「哲学者」は、フリードリッヒ・シュレーゲルを指すと言われています。

 『エッカーマンとの対話』のなかでは、1829年3月23日にゲーテが、<「建築を凍れる音楽とわたしが名づけたと書かれている紙を見つけたよ」とゲーテが語った>と書かれています。ところが、この「紙」の文章は、『箴言と省察』にある上記の文章です。しかも、ここに載せたのは当のエッカーマンです。しかし、エッカーマンの書き方だと、「ある哲学者」ではなく、ゲーテ自身がそう言ったかのようです。

 ところでゲーテが「音楽」を「サウンドアート」と言い替えたのは、非常に未来的でした。『色彩論』のなかでも彼は、サウンド論〔音響論〕(Tonlehre) の構想を語っており、それは、彼の色彩論が自然科学全般に関連づけられるのと同様に、物理学全般に関連づけられるべきものだと言っています。ゲーテにはまとまった「音楽論」はありませんが、彼の思考の射程は、音楽の音にとどまらず、サウンドそのものにまでブっ飛んでいたのだなと思うのです。

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