ゲーテ自身が「シェイクスピアは世界史をみせている」という言葉にぴったり該当するドイツ語で書いている形跡はありませんが、おそらくこの言葉は、以下の文章を要約したものではないかと推察します。
「シェイクスピアの演劇は、世界の歴史が目に見えない時代の糸にあやつられて波打ちながらわれわれの目の前を通り過ぎてゆくのが見えるひとつの素晴らしい覗き眼鏡(めがね)です。」
(「シェイクスピア記念日によせて」、『文学論』、小岸昭訳、潮出版社・全集第13巻、9ページ)
【原文】
Shakespeares Theater ist ein shöner Raritätenkasten, in dem
die Geschichte der Welt vor unsern Augen an dem unsichtbaren
Faden der Zeit vorbeiwallt.
("Zum Shakespeares-Tag", Schriften zur Literatur,
Hamburuger Ausgabe, Bd.14, p.226)