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ゲーテの主要著作

2017年4月1日(土)~ 6月30日(金)、8月28日(月)~ 12月9日(土)

ゲ―テは、芸術や学術が貴族のパトロネージュに依存する時代の作家です。その際、大公妃らが偉大な役割を果したのは、彼女らがそれだけの裁量を与えられていたからです。

そもそも『若きヴェルテルの悩み』で有名になった、生意気丸出しの若きゲーテに注目し、彼を皇太子アウグストの補佐役としてヴァイマルに招いたのも、ザクセン・ヴァイマル・アイゼナッハ公国のアンナ・アマーリア大公妃でした。おかげでゲーテは、最初は乗り気ではなかった田舎町ヴァイマルを自分の理念と好みで改造し、終生ここにとどまるのです。

Grossherzogin_Sophie_von_Sachsen_bw ゲーテは、その死後も女性の深い恩恵を受けます。彼の孫ヴァルター・フォン・ゲーテが1885年に67歳で亡くなったとき、すでにヴァイマルで数々の慈善・文化事業に貢献していた大公妃ゾフィー(1824~1897)が、ヴァルターの遺言にもとづき、ゲーテのコレクションや直筆稿を引き受け、ただちに「ゲーテ文庫」と「ゲーテ協会」を設立し、143冊におよぶゲーテ著作集の編纂を開始します。これは、彼女の名にちなんで「ゾフィー版」と呼ばれますが、エーリッヒ・シュミット、ヘルマン・グリム、ベルンハルト・ズーハンといったゲーテ学者と多数の文献学者の協力のもと、1887年にはその第1巻が公刊されます。

自然科学論の巻の編纂を委託されてヴァイマルにやってきた若きルドルフ・シュタイナーは、彼の人生を変えたこの招聘をゾフィーに感謝しています。1918年に完結したヴァイマル版ゲーテ著作集は、今日でも、その規模と質において他の著作集や「全集」の追従を許しません。

本展示では、ヴァイマル版と、1975年に日本の三修社が写真製版で出版した復刻版、1987年に東ドイツでようやく増補再版されたヴァージョンの3種全432冊を一挙展示しました。ご観覧ください。

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東京ゲーテ記念館